事業所情報

ケアーサポートわらく
- 訪問介護
- 千葉県従業員
- 10名未満
平成14年に千葉県木更津市で開業。事業所名の由来は、利用者も職員も"和やか"に"楽しく"過ごして欲しいとの思いから。 平成18年からは介護タクシー事業を展開。利用者からは、通院や施設送迎の貴重な手段として、多くの支持を集めている。
平成14年の事業所開設以来、15年以上にわたり千葉県木更津市の在宅介護を支えて続けている、「ケアーサポートわらく(以下、わらく)」。同事業所の訪問介護サービス、とりわけ介護タクシー事業は、通院や施設送迎の手段に乏しい域内の利用者にとって欠くことのできないライフラインとなっています。
「わらく」では、平成30年2月にカイポケの「実施記録業務効率化セミナー」に参加したのをきっかけに業務のICT化に着手。同年3月から一部の職員が「カイポケ訪問記録」を先行導入し、4月には全社導入を実現。今では事業所の職員全員がスマートフォンでサービス実施記録を行っていらっしゃるそうです。
いったいどのようにして、このような短期間のうちに業務のICT化を実現することができたのでしょうか。今回の取材では、管理者の佐々様(写真中央)とICT導入において中心的な役割を担った訪問介護員の小川様(写真右)にお話しを伺いました。
管理者の佐々様。「目くばり、気くばり、心くばり」が事業所のモットーです。
サービス提供者3名、訪問介護員2名(うち非常勤1名)という体制で、訪問介護サービスを提供している「わらく」。同事業所では、開所以来、複写式の伝票を用いてサービス実施記録を行ってきました。管理者である佐々様がそのような状況に課題を感じるようになったのは、それまで事務を一手に担っていた職員様の産休育休取得がきっかけでした。
佐々様
育休産休を取ったサービス提供責任者(以下、サ責)に代わって私が事務を担当するようになったのですが、他のサ責や訪問介護員が紙の実施記録票からレセプトへの実績転記に多くの時間を割かれている様子を目の当たりにしてとても驚きました。同時に「これはなんとかしてあげたい」という思いがふつふつと湧き上がってきたのです。
そんな折にカイポケから「実施記録業務効率化セミナー」の案内があり、即座に申し込み。セミナーが終了する頃には実施記録業務のICT化に取り組んでみようと決意されていたそうです。
佐々様
セミナーに参加したことで、ICT導入による業務効率化のイメージがより明確になりました。事業所に戻ると、すぐに職員を集めて「4月からは実施記録業務をスマートフォンで行うようにしたい。みんなで一緒に頑張ろう」と伝えました(笑)
こうしてはじまった「わらく」のICT導入プロジェクト。そこでリーダーとして指名されたのが小川様でした。小川様は、デイサービスでの生活相談員を経て、訪問介護員として「わらく」に参加。佐々様が厚い信頼を寄せる職員の一人です。佐々様からICT導入リーダーに指名されたときのことを小川様はこう振り返ります。
小川様
はじめての取り組みなので当然不安はありました。しかし、紙の実施記録票からレセプトへの実績転記作業にはかなり手間がかかっていましたから、これが大幅に短縮される可能性があるということであれば、チャレンジしてみたいと思うようになりました。
この日を境に佐々様と小川様の二人三脚がはじまります。4月1日の全職員に向けてまずは何をすべきか。それは、まずは二人が“隗より始めよ”の精神で、スマートフォンでの実施記録業務に挑戦することでした。実施記録を行うための業務端末としては「カイポケモバイル」を採用することに決めました。
佐々様
要配慮個人情報を扱う介護事業所において個人端末の業務利用は望ましくない(※)ため、業務端末の必要性は感じていました。費用面が懸念だったのですが、「カイポケモバイル」なら通信料・通話料・端末代が全て込みでも低価格ということで、安心して導入することができました。
※「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」において、個人の所有する端末の業務利用は禁止されています
「わらく」では業務端末として「カイポケモバイル」を職員様全員に配布されているそうです。
佐々様と小川様分の「カイポケモバイル」が届いたところで、いよいよ「カイポケ訪問記録」の試験運用がスタート。スマートフォンでの実施記録そのものに関しては、二人とも比較的早期に習得されたそうです。しかし、大変なのはここからでした。
まず、佐々様は、それまでExcelで行っていたシフト作成をカイポケに切り替えることになりました。マニュアルを片手に、ときにはカスタマーサポートに問い合わせながら、忙しい本来業務の合間を縫ってカイポケでのシフト作成方法を一つ一つ習得されたそうです。
佐々様
たとえばシフト表一つとってもカイポケにはいろいろな様式がありますが、それまでExcelで作っていたものと全く同じものではありません。どの様式であればスムーズに切り替えられそうか等試行錯誤を重ねました。
また、小川様には、他の職員様への導入サポートという重要な任務が待っていました。積極的な反対こそ出なかったものの、スマートフォンでの実施記録に対する職員様の反応は様々。これまでスマートフォンを利用したことの無い方や、最近らくらくスマホを購入したばかり...という方もいらっしゃったといういうことで無理もありません。
佐々様
そろそろ職員全員分の「カイポケモバイル」が事業所に届くかなというタイミングになって、「はぁ...こないでほしい」という嘆息も聞かれました(笑)
そのような状況をみて、小川様は単発の集合研修では職員全員にスマートフォンでの実施記録を定着させるのは難しいのではないか、と考えるようになったそうです。そこで徹底した個別サポートを行うことにしました。
小川様
複写式の実施記録票とスマートフォンの画面の項目を一つ一つ突き合わせながら、職員の習熟度に合わせてサポートを行ったのですが、これが上手くいきました。最高齢で69歳の職員がいるのですが、その職員が一番早くスマートフォンでの実施記録方法を習得してしまいました。年齢はそれほど関係無いのかもしれませんね。
紙の実施記録票とスマートフォンを見比べながら1対1での丁寧なサポートを実施。
佐々様や小川様の尽力や、他の職員様の懸命な努力が実を結び、なんとか当初の目標どおり4月1日までに職員全員がスマートフォンで実施記録を行う体制を整えることができました。
しかし、佐々様にはもう一つ懸念があったと言います。それは、スマートフォンで記録を行うことについて利用者様のご了承が得られるか。「わらく」ではこれまで複写式の実施記録票を使用し、一枚は利用者様にお渡ししていました。スマートフォンで記録を行うとなると、これまでのように利用者様に記録票をお渡しすることはできなくなります。ところがこれは杞憂に終わりました。
佐々様
72名の利用者様に対して確認を取ったところ、全ての利用者様にご了承いただくことができました。「記録が残らないのは寂しい」とおっしゃる一部の利用者に対しては連絡帳にメッセージを残すようにしています。
その後、導入から1カ月が経過した現在、佐々様と小川様は確かな手ごたえを感じていらっしゃるそうです。
小川様
レセプトへの実績転記が不要になったことで、もともとひと月に4時間程度かかっていた作業が1時間程度の実績確認だけで済むようになりました。おかげで請求時期の業務も非常に楽になったと感じます。
一方で、今後に向けた課題も出てきました。なかでも佐々様が改善の必要性を強く感じたのは、備考欄を活用した記録内容の充実でした。
佐々様
当事業所では2~3人程度のヘルパーが共同して一人の利用者様のケアにあたっているため職員間での情報共有は非常なテーマです。ですが、これは紙の実施記録票を利用していたときからの課題なのですが、職員によって記録の品質にバラツキがあるのが現状です。今後は記録内容を充実させるための研修なども開催したいと考えています。
「わらく」の挑戦は続きます。
経営者や管理者が業務のICT化を推し進めたいと思っても、現場の理解を得られず道半ばで挫折しまうといった事例は少なくありません。 今回、「わらく」が短期間でICT化を実現できた要因は何だったのでしょうか。編集チームが取材を通じて印象的だったのは以下の3点でした。
今後、業務のICT化を検討している事業所様にはぜひご参考にしていただけますと幸いです。
ケアーサポートわらく
平成14年に千葉県木更津市で開業。事業所名の由来は、利用者も職員も"和やか"に"楽しく"過ごして欲しいとの思いから。 平成18年からは介護タクシー事業を展開。利用者からは、通院や施設送迎の貴重な手段として、多くの支持を集めている。